UDフォントの種類と実例。——Webや印刷物での見え方を比較して選ぶ

UDフォントの種類と実例。——Webや印刷物での見え方を比較して選ぶ

UDフォントは、年齢や能力、使うデバイスやシーンを問わず、誰でも読みやすい文字をめざして作られた書体で、ビジネスの場面でも、コミュニケーションの質をぐっと高めてくれる力があります。
この記事では、UDフォントの基本的な考え方から、実際の選び方や導入のステップまで、わかりやすく整理してご紹介します。

UDフォントと通常フォントの比較

UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)とは

UDフォントは、「Universal Design(ユニバーサルデザイン)フォント」の略で、 年齢や国籍、障がいの有無に関わらず、誰でも快適に読めることをめざして作られた書体 です。
文字の形や開き方を工夫して見やすくする、濁点や半濁点を大きくして読み間違いを防ぐなど、細やかな配慮が特徴で、実際の実験や調査をもとに改善されているので、安心して使えます。
ビジネスの場では、社内資料やWebサイト、公共性の高い印刷物などで活用することで、情報の伝わりやすさがアップし、企業の信頼感向上にもつながります。

UDフォントの考え方と役割

ユニバーサルデザイン(UD)は、ロナルド・メイスさんが提唱した考え方で、「誰にとっても使いやすく、安全で、わかりやすいこと」を大切にしています。UDフォントは、そんな理念を文字のデザインに活かしたものです。
特に「必要な情報がすぐにわかること」や「誤って読んだり操作したりしないこと」を意識して、似ている文字の違いをわかりやすくしたり、線の太さを調整したりといった工夫がされています。

ATMでの活用事例

なぜ今、UDフォントがビジネスや公共の場で求められるのか

最近では高齢化が進む一方で、スマートフォンやタブレットなどさまざまなデジタルデバイスが増えたことで、文字の読みやすさへのニーズがますます高まっています。

さらに、CSR(企業の社会的責任)やDE&I(多様性・公平性・包括性)の取り組みが注目される今、年齢や障害の有無に関係なく誰もが情報にアクセスしやすい「ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)」の導入は、ただの配慮にとどまらず、情報アクセシビリティを高める大切な手段になっています。

こうした取り組みは、企業の社会的責任を果たすだけでなく、 ブランドイメージの向上やお客様の満足度アップにもつながる でしょう。

高齢化とデジタルデバイスの増加

UDフォントと一般フォントの見え方の違い

一般的なフォントとUDフォントを同じ条件で比べてみると、文字のにじみや、似ている字の見間違いがかなり少なくなることが、なんとなくでもわかります。特に濁点や半濁点、小さなサイズの数字では、その違いがはっきりと感じられます。

「見やすさ」・「読みやすさ」・「わかりやすさ」の3つのポイント

UDフォントを選ぶときに大事なのは、以下の3つです。

  1. 文字がすぐに見分けられるか(視認性)
  2. 文章を無理なく読めるか(可読性)
  3. 似た文字をちゃんと区別できるか(判読性)

UDフォントは線の太さや文字の間隔を工夫して、この3つのポイントをバランスよく高めてくれます。

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見間違いやすい文字のデザインを比べてみました

UDフォントは、「ぬ」と「め」の中の空間を広げて見やすくしたり、数字の「3」と「8」の形の違いをはっきりさせたりと、読み間違えやすいところに工夫がされています。
濁点や半濁点は、少し大きめにして、文字本体から少し離して配置すると、小さいサイズでも「は」と「ば」を間違えにくくなります。

UDフォントと通常フォントの比較2

こうした細やかな工夫で、全体として文字を間違えにくくしてくれるデザインになっています。

Webや印刷物でのUDフォント活用実例

Webサイトや、公共交通のサイン、製品のパッケージなど、さまざまな場面で少しずつ使われ始めています。

Webサイト・アプリでの活用例と表示のポイント

Webフォントを使うと、多くの環境で文字の見た目を揃えることができます。
ただし、ファイルサイズが大きくなると表示が遅くなることがあるので、必要な文字だけに絞ったサブセット化をすると安心です。

会社案内・IR資料など印刷物での活用例

UDフォントは本文にも見出しにも幅広く活用できるので、高齢の株主の方にも読みやすい資料を作成することができます。

公共交通機関や製品パッケージでの採用事例

駅のサインや、誤って読んでしまうと事故や健康に影響が出るかもしれない食品アレルゲン表示など、リスクの高い場面では、UDフォントの導入が少しずつ広がっています。

案内標識での活用事例

薬袋での活用事例

最適なUDフォントの選び方と導入ガイド

導入のときは、まず「ターゲットや媒体の整理」、次に「メーカーの比較」、そして「ライセンスの確認」という3つのステップで進めると、安心して進められます。

STEP1: 伝えたい相手と媒体をはっきりさせましょう

まずは誰に伝えたいのか、どんな媒体(Webや印刷物など)で見てもらうのかを考えましょう。
ターゲットの年齢や閲覧環境を具体的にイメージすると、自然と使いやすい書体の種類が絞られてきます。

STEP2: 主要なフォントメーカーと代表的なUDフォントを比べてみましょう

  • ・モリサワ(BIZUDフォント、UD新ゴなど)
    「BIZ UDゴシック」と「BIZ UD明朝」は、Windows 10(バージョン1809以降)とWindows 11に標準搭載されています。追加費用はかかりませんが、ロゴへの組み込みや改変、配布といった利用条件は、ライセンスによって異なります。商業印刷や多ウェイト展開が必要な場合は、有料の「UD新ゴ」「UD黎ミン」なども選べます。

  • ・SCREEN(ヒラギノUDフォント)
    「ヒラギノUD角ゴ」「ヒラギノUD明朝」「ヒラギノUD丸ゴ」などがあります。macOSやiOSに標準搭載されているのはヒラギノの基本書体であり、UD版を利用する場合はSCREENが提供するヒラギノフォントのライセンス製品を購入する必要があります。Webやアプリを含む様々な環境で、特に低解像度環境下でも読みやすいように設計されています。

  • ・イワタ(イワタUDフォント)
    2017年にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しており、自治体の広報誌やATM画面など、公共分野での採用実績があります。

  • ・Monotype(UD角ゴ、UD明朝など)
    可読性・視認性・判別性に加えて、美感性を損なうことなくデザインされているのが特徴で、印刷物だけでなくアニメやゲームなどのデジタルコンテンツでも採用実績があります。

STEP3: ライセンスとコストを確認しましょう

無料フォントは初期費用を抑えられますが、使える範囲やエンベッド(組み込み)に制限がある場合があります。
有料フォントは買い切り型とサブスクリプション型があり、Webフォントとして使う場合は別のライセンスが必要なこともありますので、注意してください。

ライセンスとコストを確認しましょう

UDフォントを導入・活用する際の注意点

UDフォントはとても使いやすいですが、万能というわけではありません。デザインの魅力や読みやすさを両立させるためには、フォントだけでなく文字サイズ・行間・配色など周辺の要素も合わせて考えることが大切です。こうして初めて「伝わるデザイン」が実現します。

デザインとのバランスを大切に

ブランド独自の世界観を表現したいときは、ロゴや大きな見出しには別の書体を使い、本文やデータ部分には UDフォントを使う、といったハイブリッド運用が現実的です。これなら読みやすさもデザイン性も両立できます。

Webフォントとして使うときは表示速度や環境にも配慮

フォントのサブセット化や、主要なブラウザやOSでの表示テストをしっかり行うと、快適なユーザー体験とアクセシビリティを両立できます。

文字サイズやレイアウトも大事

一般的な読みやすさの目安として、本文は16px前後がよく使われます。WCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)では、可読性を高めるための指標として、通常のテキストは4.5:1以上、大きなテキスト(18pt以上または14ptの太字)は3:1以上のコントラスト比が目安として示されています。また、行間については文字サイズの1.5倍以上に設定することが推奨されています。

イシイが大切にしている「伝わる」ための設計

イシイでは、制作に入る前に、その情報が、きちんと読まれ、理解されるかを考えます。
誰に向けた情報なのか。
どんな場面で読まれるのか。
その前提を整理したうえで、言葉や構成、文字の見やすさまで含めて設計する。
UDフォントの活用も、そうした考え方のひとつです。

私たちは、「伝えたか」ではなく「伝わったか」を基準に、企業の情報発信を支えています。

まとめ:伝わるデザインの第一歩は、最適なUDフォント選びから

UDフォントは、みんなが情報を読みやすくするお手伝いをしてくれるだけでなく、企業の社会的な取り組みやブランドへの信頼感を高めることにもつながります。ターゲットや使う媒体をしっかり確認し、ライセンスもきちんとチェックしたうえで適した書体を選べば、読みやすさとデザイン性の両方を大切にしたコンテンツを作ることができます。

この記事を参考にして、ぜひ自社の制作フローにUDフォントを取り入れ、誰にとっても優しいコミュニケーションの基盤をつくってみてください!

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